2023年12月13日(水)、BizAlign主催の「事業責任者のための企業価値評価・算出スキル習得ダイアログ・ワークショップ研修」が都内某所で開催されました。
本研修は、異業種の現役経営者、CXO、事業責任者が集まり、企業価値について、企業価値の構造について、企業価値の構造、評価・算出方法についてを単純化したモデルで理解し、ビジネスの未来を見据える力を身につけ、今後の「どうありたいか」の新しい洞察や他者への貢献、相互理解と共感、未知への好奇心と挑戦を得るための場として開催されています。
本記事では当日の開催の模様を詳しくお届けしていきます。
研修参加者のご紹介
今回の研修では、以下の3名の方が参加されました。
I社 取締役 Y・Mさん
F社 執行役員COO D・Sさん
E社 代表取締役 F・Iさん
それぞれの参加理由は、「実践的な企業価値把握を学べる良い機会と思い応募しました」、「財務知識をつけるため」、「今後、エグジット戦略を考えたいため」と三者三様です。
また、財務会計知識についても、「PLだけ」、「PLとBSがわかる」、「BS・PL・CFも読めてM&Aディール経験や株式による資金調達も経験済み」という様子でした。
プログラム概要
当日のプログラム内容は、研修の趣旨や背景の説明、自己紹介、研修のグラウンドルールの対話・作成に始まり、最後の感想共有に至るまでに以下の4つのセッションを挟んだプログラムとなっています。
① IPO企業代表者インタビューの構成についての対話(法則の発見)
② 企業価値計算における4大変数講座(構造の理解)
③ 企業価値を実際に計算してみよう(スキル実践)
④ ロジカルに発表・共有しよう(言語化)
プログラム内容やタイムスケジュールは、「事業責任者のための「企業価値評価・算出」スキル習得ワークショップ~入門編~」を参照ください。
企業価値を見る目を養う「IPO企業代表者インタビューの構成についての対話」
セッション1・2で、講師・参加者の自己紹介と研修のグラウンドルールについて話されたのちに、セッション3「IPO企業インタビューの構成についての対話(法則の発見)」では、事前ワークシートに基づき、具体的な業種業態の異なる3社について、「実際にインタビューがどのようなポイントについて行われているか?」、「何でその構成になっているのか?」について対話が実施されました。

IPO企業代表者インタビュー3社
DAIWA CYCLE(5888)
バリュークリエーション(9238)
ドリーム・アーツ(4811)
(参考の情報ソース:日本取引所グループ「新規上場会社情報」、ヤフーファイナンス※ヤフーファイナンスの検索窓に()の証券コードを入力ください。)
セッション中盤では、「今後、最も企業価値が向上すると思われる会社はどこか?」「何故そう考えるのか?」などについても参加者毎の意見が発表され、それに対しての参加者間の意見交換も実施されました。
セッションの後半では、講師から、公開されている財務ハイライトや株式情報などから企業価値についてどのようなことが考察できるかの解説・質疑応答がありました。
参加者の受講後のアンケートでは:
「実際の上場企業例だったため、市場のリアルな企業価値評価ロジックが理解できた」、「よく他社状況を確認しようという話はあるが、じゃあどのような角度からインプットするんだろうという点でとても分かりやすく良かった。」、「直近の上場企業例、異なる業種だったが、評価ポイント、投資家の視点は実は一緒であることを学べました。」という高評価だったそうです。一方で、企業価値額の規模に違いがあるケースについての考察を求める意見や講師の解説後に再度別のIPO企業代表者インタビューを復讐する時間があっても良いのではないかという今後の改善につながるご意見もあったそうです。
企業価値評価の構造と向上ポイントを理解する「企業価値計算における4大変数講座」
セッション3「企業価値計算における4大変数講座(構造の理解)」では、企業価値とは何かについて構造的に説明されるところから始まりました。
損益計算表や貸借対照表に現れていない要素は何か?、現れていない要素はどのようなロジックで算定されているのか?を参加者への問いかけも交えて進められていてとてもわかりやすく企業価値評価の構造の理解ができるようになっています。

また、本講座では、企業価値の構造を理解することにとどまらず、どうすれば企業価値が向上するのか?についての観点やプロセスも解説されており、これからどのような戦略・アクションを展開するかのインサイトを得ることができる内容でした。
参加者の受講者アンケートでは:
「自社のPL/BS理解が進む上に、企業価値評価を高めるポイントを理解できるため、今後の自社が取るべき戦略が明確化した。」、「基本的な、でも重要なインプットが出来た」「BSを基にして企業価値を算出ロジック、理由を学ぶことができました。」、「企業価値評価の構造的理解が進んだ。定型的に評価計算ロジックを理解できることで、企業価値を向上させるためのポイントを掴むことができた。」、「企業価値についてBSとの対比でよく理解できました。」との高評価だったそうです。
一方で、「初学者にはインプット偏重になってしまうところ」「株主資本コスト率については理解はできたつもりですが、実際は発生していなかったり、よくない状態の時はどうするんだろうなど、少しモヤっとが残りました。」などの改善点や今後の”学び”の気づきもあったそうです。
算定プロセス理解が価値向上ポイントを明確にできる「企業価値を実際に計算してみよう」
セッション4「企業価値を実際に計算してみよう(スキル実践)」では、当日に配布されたエクセルのワークシートに、事前課題の損益計算書と直前期の貸借対照表、見込損益計算書を用いて、自社の企業価値を計算するプログラムが実施されました。

事前準備と当日学んだ知識を入力すると簡単に企業価値が算定できるようになっているので、ほとんどの受講参加者に戸惑いもなかったようです。
参加者の受講者アンケートでは:
「秀逸なExcelを用いて、自社の具体的な価値算定を非常に楽に算定できた」、「自社の具体的な価値算定ができ、更に価値を高めるために何をするべきかという方向性が明確化された」、「ほぼ自動で出て、システマティックに出る部分も多いのだと感じれた」、「実際に数値を入力し、企業価値を計れたことはとても良かったです。」、「実際の勘定科目の仕分け、精算価値と将来価値をシステマチックに算出することを体験できました。」との良かった点のご意見があったそうです。
一方で、「自社の本当の数字がわかないので手触り感が薄かった」、「満足しているが、自社に置き換えると超過利潤がキーポイントであったが、3ヵ年計画数値が大事である点は事前にもう少し教えてもらえると良かったです。計算シュミレーションになってしまったと算出して感じました。」などの本研修の改善点に関する貴重な意見もあったそうです。
その場の学びを言語化できる「ロジカルに発表・共有しよう」
セッション5「ロジカルに発表・共有しよう(言語化)では、本研修のプログラムを通じて学習した内容に基づき、自社について、事業説明、事業の強み、自社の企業価値、今後のありたい姿について自分の言葉で発表するプログラムでした。

一連の学びを、その場でロジカルに発表することで学びの定着を図っていることが特徴だと思われます。
参加者の受講者アンケートでは:
「その場で学んだことをアウトプットするため、より効率的に学びを自身のものにできた」、「学んだ点を全ておさらいするようなアウトプットをするため、知識が体系的に整理された。」、「バリュードライバーを見つけるのに議論をする必要はありそうなのと、そこが大事だなと思いました」、「上場企業の社長になった気持ちで話せた」、「ワークショップのまとめとして、企業価値の理解とアウトプットができた」、「参加者のお二人の事業内容、強み、成長性を理解することができました。」とのご意見だったそうです。
一方で、「中には具体的な数字発表を嫌がる方もいらっしゃる可能性があるため、そこへの配慮は必要かも知れないなと感じました。」、「バリュードライバーは事前準備があっても良いと感じました。」という、本研修の改善点についてのご意見もありました。
【まとめ】”どうありたいか”において企業価値は重要!
すべてのプログラムを終えての参加者の感想が発表・共有されて、本プラグラムは終了しました。そのあとに軽く懇親会が開かれたようです。
本研修を通じて改めて、どうありたいかについて考えることやそれがゴールとして設定されることの重要性に気づかされました。
最後に、本研修に全体に対する受講者アンケートの声を掲載します。
【全体評価】
”バリュエーションという言葉をなんとなく使っているが、実はその構造などは理解できておらず、企業価値を高めるための具体的施策まで落とし込めていないことが多かった。本講座では企業価値算定における構造の理解が進み、最終的には「自社の企業価値を高めるために今後取り組むべき点」を明確化することができた。”
”「ファイナンス」という一見難しく感じるものをわかりやすく教えていただき、インプットできた」”
”単なるPL・KPIの向上に留まらず、いかに企業価値を上げていけるかと構造的に理解でき、満足しています。”
【よかった点】
”企業価値算定の方法論を学べることに加え、講師の方へリアルな世界における想定問答もできるため、実践力も育まれる点。”
”実際の代表者インタビューをもとにした内容になっているので、振り返りやインプットがやりやすく、その後の自己学習に活きる点”
”企業価値評価・算出について、座学にとどまらず、講師とのQAと実際の数値を基にし実践的に学ぶことができました。”
【あまりよくできなかった点】
“入門編としては非常に適した内容でした。今後、更に実践に向けて、自社の企業価値を高めるための戦略ディスカッションやネゴシエーション講座などを期待しています。”
”特になし”
”特別はありませんが、ボリュームに対して少し時間が足りなかった点は感じました。”
【アンケートの点数】※満点=5.0
事業責任者のための「企業価値評価・算出」スキル習得ダイアログ・ワークショップ研修~入門編~全体
5.0
IPO企業代表者インタビューの構成についての対話(法則の発見)
4.3
企業価値計算における4大変数講座(構造の理解)
4.7
企業価値を実際に計算してみよう(スキル実践)
4.3
ロジカルに発表・共有しよう(言語化)
4.0
以上、第1回 事業責任者のための企業価値評価・算出ダイアログ・ワークショップ研修~入門編~のレポートを紹介しました。
本研修に興味のある方は、「事業責任者のための企業価値評価・算出ダイアログ・ワークショップ研修~入門編~」ページをご覧ください。